内向型女、学校で暴力のターゲットになりやすかった話(6)
続きです。
電話はすぐにつながって、私はK君のお母さんに暴力のことを相談しました。
そうしたらお母さんが怒った声で「うちの息子がね、あなたにメガネを壊されたと言ってますけど」と言いました。
私は絶句しました。「K君が私を叩いてきて、その時にK君が自分でメガネを投げて壊したんです」と経緯を説明しました。
そう言ってもお母さんは私がメガネを壊したと言って、信じてくれずに、そのまま電話を切りました。
K君との関係は結局、解決されないまま、中1は終わりました。
中2になって、K君とクラスが分かれたことにより、それからK君からの暴力は無くなりました。
時々、廊下などですれ違っても、K君はその頃から私を殴ったり蹴ったりして来なくなりました。
そのまま中3になって、またK君とは別のクラスで、私はやっとK君を意識しない生活になりました。
そして中学を卒業して、別々の高校に進学することになり、通学電車も別の路線であることから、私は卒業後、K君と全く会うことはなくなりました。
高校に入学して、しばらく経った頃、ある日偶然、地元の駅のホームでK君とばったり会いました。
私を見ると、K君はなぜか晴れやかな満面の笑顔で「やあ!」と手を挙げました。
私は何かその笑顔に思わず釣られて笑ってしまって、私も笑顔で手をふり返しました。
それがK君と会った最後の出来事になりました。
小学校、中学校の計9年間の中で、完全に私の中で、天敵と化していたK君でしたが、私はK君のその満面の笑顔を見たときに、今までの恨みがましい気持ちは消えて、なんとも言えない爽やかな気分になったのでした。最後に笑顔で会えて良かったです。
暴力をしてくるK君のこの問題については、結局私はどう対応したら正解だったのか(先生に相談してもダメだったので)、今でも答えはわかりません。
強くなれ。確かにそうなのかもしれませんが、気弱なところのある内向型のHSP女子児童にとっては、こういう暴力被害にあった時に、強く反撃する、男子と互角に戦うとかはなかなかハードルが高いことなのではないでしょうか。
そもそも気弱な内向型HSP性格だから、こいつなら勝てる、弱いと思われて目をつけられやすいのだし、腕力でも勝てないし、相手を傷つけたくないから、あと、相手が怖いので、あまり強いことが言えない性格のため、口の強さ、口の達者さでも勝てないのだから。(小中学生女子は気が強く、口が達者な子がほとんどだと思うけど、私はそういう女子ではなかった)
大人になった今ならわかるけれど、K君も障害のことで色々傷ついたり、健常者には計り知れないような苦労が沢山あったのだと思います。
そしてK君のお母さんも必死で懸命に子育てしていたのだということも。
もしかしたら学校での他害行為は、男子からのからかいが原因なのもありますが、家庭で厳しく躾けられたりしたことなどからの反動などもあったのかもしれません。今では知るよしもありませんが。そしてまた、暴力行為は障害から来る特性でもあったのだと思います(もちろん他害行為をしない子もいます)。
私も子供だったので、K君の暴力行為になす術もなく、かと言ってK君の障害のことを真に理解して、全面的に受け入れる度量もなく、いつもどうしたら良いのか、心の中で葛藤していました。
今は発達障害の研究も進んでおり、暴力行為や多動を抑制するような薬も続々開発されています。
そして社会的にも、昔よりももっとこういう障害のことが認知されており、オープンに話し合えるような環境にはなってきているのではないでしょうか。
K君はきっと私の知らない所で辛いこといっぱいあったのだろう。そのフラストレーションをぶつけるところがなくて、私に甘えていただけなんだよね。
どこかで元気にしているといいな、と思います。